「新しいお客様は、ほとんどが紹介から」「Webマーケティングに取り組みたいが、担当者を置く余裕はない」。こうした悩みを抱える中小企業や士業事務所は少なくありません。
本記事では、担当者がいない会社でも回せる役割分担、問い合わせ後に成約・リピート・紹介へつなげる方法、成果の判断に使う数字を解説します。
なお、Webマーケティングはすぐに結果が出る施策ではありません。最低1年は続ける前提で、自社に合った回し方を作りましょう。
中小企業にとってのWebマーケティングとは?集客だけで終わらせない考え方
中小企業にとってのWebマーケティングとは、自社を見つけてもらうところから、問い合わせ・成約・リピートや紹介までの流れを整え、売上につなげる取り組みです。アクセスを増やすのは入口にすぎず、問い合わせ後の対応までを含めて考えます。
Webマーケティングは「見つけてもらう→問い合わせ→成約→リピート・紹介」の流れ全体
依頼先が決まるまでの流れと、会社側で整えることを表にまとめました。
| 段階 | お客様の行動 | 会社側で整えること |
|---|---|---|
| 見つけてもらう | Google検索やGoogleマップで「地域名+業種」を調べる | Googleマップの情報、ホームページ、検索で見つかる記事 |
| 比べる | ホームページや口コミで、料金・実績・対応エリアを確認する | 料金や実績の載せ方、口コミへの返信 |
| 問い合わせ | 電話やフォームで相談する | 返信の早さ、相談方法の案内 |
| 成約 | 相談・見積もりを経て依頼を決める | 見積もりまでの手順、説明のわかりやすさ |
| リピート・紹介 | 再依頼や知人への紹介、口コミの投稿をする | 依頼後の連絡、口コミ・紹介のお願い |
前半の整え方は、状況別のホームページ集客ロードマップで解説しています。本記事では、取りこぼしが起きやすい問い合わせ以降に重点を置きます。
Web集客との違い
Web集客は、お客様をホームページや店舗に呼び込む入口の取り組みです。Webマーケティングは、その先の問い合わせ対応やリピートまでを含みます。集客の手法の一覧は、Web集客の方法15選をご覧ください。
中小企業が取り組む理由(紹介頼みから抜け出す・少ない人手で営業を補う)
紹介は信頼につながりやすい反面、件数を自社で増やせません。紹介が途切れた月にも地域のお客様から相談を得られるよう、Webでの接点を持っておく意味があります。
人を増やして営業を強化する方法も取りにくくなっています。中小企業庁の白書概要では、中小企業の雇用者数は2040年に2018年比で8割半ばまで落ち込む可能性があるとされています。
同じ資料によると、差別化や外部環境の情報収集(白書でいう「マーケティング」)に取り組む小規模事業者は、53.8%が売上を伸ばしています(3期前との比較)。取り組んでいない事業者は34.2%でした。なお、この調査はWebに限ったものではありません。
(出典:中小企業庁「2026年版 中小企業白書・小規模企業白書の概要」(2026年4月))
中小企業のWebマーケティングがうまくいかない3つの理由
取り組んだのに続かない場合、原因は施策よりも社内の体制にあることが少なくありません。代表的な理由は次の3つです。
Webの担当者がいない・育てる余裕がない
従業員が数名の会社では、社長がWebの対応も兼ねるのが一般的です。調べても専門用語が多く、何から始めるか決めきれないまま後回しになりがちです。
本業が優先され、更新や問い合わせへの返信が止まる
繁忙期には、Googleマップの更新や投稿が止まりがちです。より影響が大きいのは問い合わせへの返信の遅れで、その間に他社へ依頼が流れることもあります。
業者に任せきりで、成果の良し悪しを判断できない
外部に任せること自体は合理的です。ただ、見る数字が決まっていないと、報告書を受け取っても続けるか見直すかを判断できません。
施策ごとの役割分担:社長が判断すること・社内で回すこと・任せること
担当者がいない会社では、施策を選ぶ前に「誰がやるか」を決めます。
施策と担当の一覧表
| 施策 | 社長が判断すること | 社内で回せること | 任せた方がよいこと | 詳しい記事 |
|---|---|---|---|---|
| Googleマップ(MEO対策:Googleマップでの表示を高める取り組み) | 載せる情報と写真の方針 | 写真の追加、お知らせの投稿、口コミへの返信 | 初期設定、表示順位の分析 | MEO対策とは |
| ホームページ | 誰に何を伝えるか、料金・実績の載せ方 | お知らせや実績の更新(自分で更新できる場合) | 制作・リニューアル、スマホ対応 | ホームページリニューアルの費用 |
| SEO(検索エンジン最適化) | 狙うお客様と記事のテーマ | 現場でよく聞かれる質問のメモ | 検索キーワードの選定、記事の構成、技術的な設定 | SEO対策とは |
| Google広告 | 予算の上限と出す期間 | 広告経由の問い合わせ内容の記録 | 設定・運用・改善 | — |
| SNS(Instagramなど) | 続けるかどうか、発信する内容 | 写真・動画の撮影、日々の投稿、コメントへの返信 | アカウントの初期設計、投稿のひな形づくり、運用代行(SNS専門の会社へ) | — |
| 問い合わせ対応 | 返信の方針、料金の伝え方 | 返信、日程調整 | 不在時の電話の一次受付(電話代行サービス)、自動返信メールの設定 | — |
| 計測 | 毎月見る数字 | 問い合わせの記録 | 計測ツールの設定 | SEO対策に使うツール |
「任せた方がよいこと」は、社内に詳しい人がいれば自社で行っても構いません。大切なのは、左側の「社長が判断すること」を外部に預けないことです。
社長が判断すること(誰に何を届けるか・強み・予算・返信の方針)
誰に何を届けるか、自社の強み、毎月の予算の上限、問い合わせへの応じ方。この4つは業者には決められません。
たとえば司法書士事務所なら「明石市で相続登記を相談したい方」のように、地域・依頼内容・お客様像まで言葉にしておくと、任せる相手にも方針が正しく伝わります。
社内で回せること(Googleマップの更新・SNSの投稿など)
お客様と接している社内の方が得意な作業です。Googleビジネスプロフィール(Googleマップに載る事業所の情報を管理する無料サービス)は、未登録なら登録と所有者確認から始めます。登録済みで放置しているなら、古い情報の更新から取りかかります。
SNSは、日々の投稿を社内で続け、初期設計や運用代行が必要ならSNS専門の会社に相談する形が現実的です。
外に任せた方がよいこと(ホームページ制作・技術的なSEO・計測の設定・Google広告の運用など)
専門知識が必要で、覚えるより任せた方が早い作業です。既存の制作会社と保守契約がある場合は、契約内の作業と解約条件を先に確認しておきましょう。
急いで問い合わせを増やしたい場面では、Google広告で短期の問い合わせを補う方法もあります。SEOは成果が出るまで時間がかかる一方、中長期の集客基盤になります。両者は時期に応じて組み合わせるものです。
任せるときに決めておくこと(報告の頻度・見る数字・依頼範囲)
- 報告の頻度と形式:毎月なのか、何をどの形で報告してもらうか
- 見る数字:順位やアクセスに加え、問い合わせへの影響をどう報告してもらうか
- 依頼範囲:やること・やらないこと、追加費用が発生する条件
- 契約期間:最低契約期間と途中解約の条件
「リンクを買えばすぐに順位が上がる」といった提案には注意してください。リンクの売買はGoogleのスパムに関するポリシー違反とされ、ペナルティの対象です(出典:Google検索セントラル「スパムに関するポリシー」)。
役割の切り分けから相談したい方は、次の診断をご活用ください。
費用と始める順番の考え方
費用と始める順番も、役割分担とセットで考えると判断しやすくなります。
費用は「任せる部分」にかかる(自社で回す部分は時間のコスト)
社内で回す作業に外部費用はかからず、かかるのは時間です。任せる部分は、制作や初期設定などの単発費用と、運用や記事作成などの月額費用に分かれます。
役割を決めてから見積もりを取ると、自社でできる作業まで依頼せずに済みます。金額の目安は、ホームページ制作の相場・SEO対策の費用相場・MEO対策の費用相場で解説しています。
ホームページの状態別の始める順番(無い/古い/あるが更新できない)
- ホームページが無い:Googleビジネスプロフィールを整え、Googleマップで見つかる状態を先に作ります。
- ホームページが古い:Googleマップを整えながら、スマホ対応を含むリニューアルを検討します(参考:ホームページリニューアルの費用)。
- ホームページはあるが自分で更新できない:更新の担当を決め、制作会社に頼む場合は費用と頻度を確認します。
集客の「その後」を設計する:問い合わせを成約・リピート・紹介につなげる
問い合わせが増えても、成約や再依頼につながらなければ売上は伸びません。少人数の会社ほど、問い合わせ後の流れを決めておく効果は大きくなります。
問い合わせが来てからの流れを決めておく(返信の目安・相談の方法・見積もりまでの手順)
返信の期限、相談の方法(電話・訪問・オンライン)、見積もりまでに確認することを社内で決めておきます。mittsun.comでは返信を基本24時間以内とし、Zoomやメールでの相談に対応しています。
- 電話が中心の場合:不在時の折り返しのルール(誰が、いつまでに)を決めておく
- フォームが中心の場合:自動返信メールで、受け付けたことと返信の目安を伝える
問い合わせが届く前の導線(ボタンの位置やフォームの項目)の整え方は、状況別のホームページ集客ロードマップで解説しています。
「何で知ったか」を聞いて記録する(次の集客の判断材料にする)
最初のやり取りで「当社を何で知りましたか」と聞き、表に記録します。アクセス解析を使いこなせなくても、どの接点が問い合わせにつながったかが分かります。
| 日付 | 何で知ったか | 相談内容 | 成約 |
|---|---|---|---|
| (記入例)10月6日 | Googleマップ | 相続登記の相談 | 成約 |
| (記入例)10月9日 | 知人の紹介 | 会社設立の相談 | 検討中 |
依頼後の口コミ・紹介・再依頼を仕組みにする
依頼の完了時に、Googleマップへの口コミをお願いする流れを決めておきます。季節の案内や制度変更のお知らせなどで定期的に連絡すると、再依頼や紹介のきっかけにもなります。Googleマップでの見え方の整え方は、MEO対策とはで解説しています。
士業では、依頼内容を知られたくない依頼者も多く、口コミをお願いしにくい場面があります。その場合は、紹介や再依頼につながる連絡を中心にしてください。広告や依頼の方法は、所属する会の規程を確認したうえで進めましょう。
成果は「売上側の数字」で判断する
成果は、順位やアクセスだけでは判断できません。社長が使う数字を絞ると、続けるか見直すかを決めやすくなります。
成果が出るまでの4段階(①順位の変化→②アクセスの変化→③問い合わせの変化→④売上への貢献)
Googleは公式ガイドで、変更が検索結果に反映されるまで数時間から数か月かかるとしています。効果の確認は、数週間待ってから行うようすすめています(出典:Google検索セントラル「SEOスターターガイド」)。
一方、SEO業界では一般的に、成果は①順位の変化→②アクセスの変化→③問い合わせの変化→④売上への貢献の順に進むと言われます。各段階までの期間は、業種や競合、投資額で大きく変わります。
成果が出るまでの目安は、新しいサイトなら1年以上、安定した集客基盤ができるまでには1〜2年以上です(競合が強い分野ではさらに延びます)。最低1年は続ける前提で取り組みましょう。
社長が毎月見る数字は3つに絞る(問い合わせ数・成約数・リピート/紹介の件数)
- 問い合わせ数:「何で知ったか」別に数える
- 成約数:問い合わせのうち、何件が依頼につながったか
- リピート・紹介の件数:既存のお客様からの再依頼と紹介
順位やアクセス数は途中経過の数字です。業者の報告で確認し、社長の判断には上の3つを使います。アクセス解析の見方は、SEO対策に使うツールで解説しています。
mittsun.comの支援実績(参考事例)
mittsun.comでは、明石市・神戸市周辺の中小企業・店舗・個人事業主の方を対象に、Webマーケティング支援サービスを提供しています。代表が直接対応し、ホームページ制作・SEO対策・Googleマップ対策をまとめてご相談いただけます。
| 業種・所在地 | 施策内容 | 成果 |
|---|---|---|
| 歯科医院(神奈川県) | ローカルSEO対策+MEO対策+HP改善 | HPアクセス数 1,005PV→5,063PV(約5倍) |
| 歯科医院(神奈川県) | ローカルSEO対策 | Googleマップ閲覧数+136%、電話予約数+151%、ウェブサイト閲覧数+148%(2024年平均比・2025年3月実績) |
よくある質問
Webマーケティングの始め方や費用について、よく寄せられる質問をまとめました。
- 中小企業にとってWebマーケティングとは何ですか?
-
見つけてもらう段階だけでなく、問い合わせへの対応、成約、リピートや紹介までを一つの流れとして整え、売上につなげる取り組みです。
- Webの担当者がいなくても始められますか?
-
始められます。方針の判断は社長、口コミの依頼や返信は社内、制作や技術的な設定は外部、と役割を分ければ、専任の担当者がいなくても回せます。
- Webマーケティングの費用は、どう考えればよいですか?
-
外部費用がかかるのは、外に任せる部分だけです。先に役割を決め、任せる部分の見積もりを取りましょう。施策ごとの目安はSEO対策の費用相場・MEO対策の費用相場をご覧ください。
- 成果が出るまでどのくらいかかりますか?
-
Googleは、変更の反映には数時間から数か月かかるとしています(出典:Google検索セントラル「SEOスターターガイド」)。成果は段階的に現れます。段階ごとの考え方は「成果が出るまでの4段階」の見出しで解説しています。
- 外注するなら、どこまで任せるべきですか?
-
制作、技術的なSEO、計測の設定、広告運用など、専門知識が要る作業を任せるのがおすすめです。方針の判断とお客様への対応は社内に残しましょう。
- 費用対効果はどう判断すればよいですか?
-
Web経由の問い合わせ数・成約数・リピートや紹介の件数から売上を把握し、かけた費用と比べます。Web経由かどうかは、「何で知ったか」の記録で見分けられます。
- Webマーケティングに補助金は使えますか?
-
ホームページの作成・改修などが補助の対象になる制度として、小規模事業者持続化補助金があります。対象となる経費や上限額、申請期間は公募の回ごとに変わるため、最新の情報は小規模事業者持続化補助金の事務局ホームページをご確認ください。
まとめ|中小企業のWebマーケティングで、今日できること
成果を分けるのは、施策の数よりも「誰が何をやるか」と「問い合わせの後」を整えられるかどうかです。担当者がいないから取り組めない、ということはありません。
中小企業のWebマーケティングで後悔しないための3つのポイント
- 施策を選ぶ前に、社長が判断すること・社内で回すこと・任せることを分ける
- 返信・相談・見積もりの流れと、口コミ・紹介・再依頼の仕組みまで整える
- 成果は問い合わせ数・成約数・リピート/紹介の件数で判断し、最低1年は続ける前提で取り組む
今日からできる最初の一歩
Google Search Console(検索での表示状況を確認できるGoogleの無料ツール)を設定し、表示されている言葉を確認します。ホームページが無い場合は、Googleビジネスプロフィールの登録状況の確認から始めましょう。
次の問い合わせから「当社を何で知りましたか」と聞き、日付・きっかけ・相談内容・成約の有無を記録します。
役割分担や優先順位に迷ったら、mittsun.comの無料WEB診断をご活用ください。現状の課題と、自社で回す部分・任せる部分の切り分けをお伝えします。
明石市・神戸市周辺で、社長一人で集客まで抱えている方は、まず「何で知ったか」を聞くことから始めてみてください。

サービス紹介
ホームページ制作(+撮影対応)
医院・店舗の清潔感や信頼感を
「見た目で伝えるホームページ」に
・プロのカメラマンが撮影した素材を使い、見た人に安心感を与えるビジュアルを設計。
・スマホ・SEO・使いやすさも重視し、来店や問い合わせに直結する導線を意識します。
・ホームページを制作する上で、ここだけは押さえておくべき50個以上のチェックリストを網羅。弊社独自のページ構成。
プロフィール

mittsun.com 代表 山本 通泰
兵庫県明石市在住。甲南大学経済学部卒業。
大手焼肉チェーン店・大手通信キャリアにて接客販売を約10年経験し、8,000人以上の顧客対応を行う。
コロナ禍をきっかけにWEB業界へ転身。これまでに50社以上の中小企業・店舗のホームページ制作およびGoogleマップ集客を支援。
地域密着ビジネスに特化したローカルSEOを専門とし、集客につながる導線設計と成果重視のホームページ制作を強みとしている。
専門分野
・ローカルSEO(Googleマップ対策/MEO)
・ホームページ制作(設計・制作・改善)
・店舗・地域ビジネスの集客導線設計・改善

